樹齢700年とも言われている西新井大師の藤。水の音が心地良いいろは池前、大本堂正面にあたる藤棚には、紫の野田藤がございます。
藤は上方から花をつけ下へと次第に咲き、大きいもので花房が約1mにもなります。例年4月下旬に満開となり、素晴らしい彩りと甘い香りをお楽しみいただけます。毎年咲き方が変化する藤は、歴史を感じさせる鐘楼堂とあいまって、年ごとに異なる風景を創出します。
藤について
藤の美しさは古くから愛されてきました。平安時代の貴族は藤の模様を衣類に採り入れ、藤原氏がこれを家紋としたそうです。
万葉集にも藤の花をうたった歌は数多く、全27首あります。また「源氏物語」では、作者紫式部が藤原の姓をもつこともあって、藤の花の宴に関する記述や、美しい女性を藤の花にたとえる表現などが随所に見られます。栄華を誇った藤原氏ゆかりの藤は高貴な花として現代まで伝えられました。
藤は、つるの巻き方によって右巻きの「野田藤」と左巻きの「山藤」にわけられます。5月には藤棚から花穂が枝垂れ、その姿と香りは変わることなく人々を魅了します。この華麗亜な花の言葉は「至福の時」。藤棚下の縁台で、花言葉どおりの時が流れます。